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TOP対談 となりのしんぽ 新保 至聴(シンポ ノリアキ)氏

弊社社長が飲食店経営者に直接インタビュー。
第4回目は、となりのしんぽ 新保 至聴(シンポ ノリアキ)氏にお話を伺いました。
--はじめに、飲食業界に入ったきっかけを教えてください。

(新保氏)人一倍遊んでいた高校生で、3年間ずっと同じ教師にお世話になっていたのですが、いざ卒業となった時進路を聞かれ、料理に興味があったので調理師学校でも・・・と言ったら全力で止められました。厳しい板前の世界は自分には合わない、想像より大変な世界だからと。僕も軽い気持ちで言ったこともあり、その提
案を飲んで、北海道の親戚が営む土木業の手伝いに行きました。親戚といえども朝から駆り出されましたから、仕事って大変だな、とその時思いましたね。その後戻ってからは配送業などしていました。休みもあるし、お金もそこそこもらえる・・・だけどつまらないんですよ。それで、やっぱり料理にいこうと思ったのが飲食に携わるきっかけですね。

--では、北海道から戻られてから調理師学校に入ったのですか?

(新保氏)いえ、いきなりお店に入ったんですが、長いんですよね、労働時間が。先生が言っていた通りでした。年齢的に遊びたい盛りでしたから、一週間ほどで行かなくなりました。そこは結構大きなお店だったのですが、料理長から、だったらピッタリのところを紹介するからそこへ行けと言われて。休みもあるし、勤務時間も短い。よくわかってるなと思いましたね(笑)それが機内食用の和食を作る部門だったんですけど、母体の会社が大きい分、勤務体制についてはしっかりしていました。1年位在籍したのですが、和食部門ということで、経験者が集まっていて、僕にとってはそこが調理師学校でしたね。魚の卸し方から切り方まで、全部教えてくれるんですよ。一日に相当数を捌きますので、いい勉強になりました。

--それが21、2歳の頃になりますか。

(新保氏)そうですね。その当時、常に自信があったんです。今思うとお恥ずかしいですが、入った瞬間から早く自分の店を出そうと思っていました。周りにも店を持つことを口にする人もいましたが、結局は動かないんですよ。僕はそれが不満で仕方なかった。「どこでもいいから早くやろうよ」という気持ちでした。

--自分の店を持つ、独立するという気持ちを早い段階でもっていらっしゃったのですね。

(新保氏)はい、若かりし頃でしたから、怖いものは何もないって思っていました。そんななか、ちょうど屋台ブームがありました。それで僕も渋谷で屋台を始めたんです。当時はフレンチも掛け持っていたのですが、なにせ労働時間が長くて続かないんですよね・・・。やはりそういうところは自分には向いていないんだ、居酒屋をやろうと方向性は決まってきていました。屋台はというと、これが全く儲からないんです。一年位でしたが、そこが人生のどん底でしたね。例えば、夜雨が降ってきたら、もう終わりなんですよ。仕入れた食材は余ってしまうし、売り上げは無いし。同じ頃、交通事故で1カ月ほど動けなくなったこともあり、屋台はやめようと思いました。その後SOグループから、淡島通りにお店をオープンするのでやってみないかと声がかかりました。そこから5年位お世話になりましたかね。その間も独立のことは頭にありました。


--そしていよいよ1号店開店となるわけですね。

(新保氏)29歳の時に独立したのですが、物件探しは苦労しました。西荻窪に決まるまで、中目黒、千歳烏山と候補もあったんです。ただ、ご縁が無かった。

--30歳を前に独立、は多くの方が目標とされる夢なのではないでしょうか。その後2号店出店となりますが、最終的には3店舗目に全てを集約させました。

(新保氏)この3店舗目を開けるから、1号店、2号店は別の人の手に渡しました。当初、1号店は並行してやっていこうと思っていましたが、ここは1号店の倍客数が入るので、スタッフ全員で運営しないと店が回らないんですよ。僕にとって思い入れのあった1号店でしたので、最初は手放すのはどうかなと思ったのですが、意外に気持ちの切り替えはすぐにできましたね。せっかく来てくれたお客様を帰さなくてはならなかったり、団体客を受けられないなど、狭いお店の状況に少し嫌気がさしていたのもあったと思います。まあ、ここは想像より広すぎましたけれど。(笑)以前大箱で働いていたことがあるので、掃除の大変さや十分なスタッフ数を確保しなくてはならない点、安定した来店数が無いと厳しいという、大きい店の大変さを知っていましたから。ただ、利点もあって、2店舗経営するより広い1店舗のほうが色々な意味で効率的ですね。新しい快適な空間で働くのは、精神衛生的にも良いです。



--コロナ禍真っ只中の時はどうだったのでしょう。

(新保氏)4月からテイクアウトを行っていましたが、もちろん売り上げは50%を切る位下がりました。テイクアウトも初めての試みだったので、本当にお客様が来てくれるのか半信半疑でした。Twitterを始めてからですかね、ご注文が爆発的に増えたのは。それで何とか生き延びて、徐々に営業を通常に戻していきました。10月ぐらいからはお客様の来かたが変わってきて、楽しそうに飲食している風景が戻ってきてホッとしました。

--不安な時期だったと思いますが、その間、新保さんだけがお店に出勤されていたのですか。

(新保氏)いえ、スタッフも来ていました。テイクアウトを始めたのもスタッフの声があったからです。実は独立してから今まで一度もミーティングをしたことが無かったのですが、コロナに関してはしなければまずいと思いました。“店は開けられないし、最悪、成り立たなくなる可能性もある、どうしたらいいと思う?”と。そこでテイクアウトをやりましょうと声があがりました。それから今までテイクアウトは続けているのですが、一時は列ができるほどの時もあり、西荻で十何年間やってきて本当に良かったと思いましたね。僕らが思っている以上にお客様は応援してくれている、それをコロナが気づかせてくれました。もともとの常連さんはもちろん、そこまででなくても、お店のことを知っている方が来てくれるんですよ。ありがたいですよ、これが住宅街の良さというか。お客様が来てくれるのは当たり前ではないんだと、感謝や本質がわかった点では、悪いことばかりじゃなかったんじゃないですかね。

--確かにそうですね。「しんぽ」さんといえば新鮮な魚料理が魅力のひとつですが、仕入れはご自身で行っているのですか。また、日替わりメニューもあると思いますが、市場に行ってから決めているのでしょうか。

(新保氏)ある時から仕入れは箱仕入です。メニューについては、僕のポリシーに「メニューは先に決めない」というのがあって、素材に合わせて決めるようにしています。というのも魚ほど相場が激しい、良し悪しがあるものは、メニューありきだとロクなことにならないんです。だから自分で市場へ行ってその場の雰囲気や旬を感じて、自分の目で確認し、仕入れます。

--売値はどうやって決めているのでしょう。

(新保氏)先ず魚を見て、自分の感覚を信じて売値を付けます。それはお酒に関しても一緒です。自分がお店に行ったとき楽しく飲み食いできる値段を意識しています。お客様が頼みやすく回転率がいい、ということだけは気を付けていますが。


--今後の構想はどうお考えですか。

(新保氏)はっきり言って、お店をたくさん出したいという想いは今は無いです。ただ、色々面白い話が入ってきて、例えばゴーストレストランやゴーストキッチ
ンを使って、ウーバーイーツで届ける、というのは興味がありますね。今回で、今までの常識にとらわれたやり方ではリスクが高いことが一層明らかになりましたから。

--最後に、商売で大事にしていることをお聞かせください。

(新保氏)今日が一番大事。今日来てくれているお客様をどれだけ満足させて帰すか、それが1年、2年後に繋がっていると信じています。そして、飲食店は食べ物だけを提供しているわけではない、旨けりゃいいってもんじゃないと思っています。というのも、掃除や接客など全てが合わさったものがお店です。グラスひとつ、まな板一枚とっても、衛生面に関しては徹底的にしていきたいと思っています。やはり、清潔感のある空間で気持ちよく食事してもらいたいですから。100%は無理かもしれませんが、7、8割のお客様に満足してもらえたらいいな、と思いながら毎回やっています。


お話を聞きながら、自分のことも考えさせられる時間となり、ますます新保社長のファンになってしまいました!
ありがとうございました。  
Twitter:西荻窪しんぽ@nishiogi_shimpo



■となりのしんぽ
所在地:東京都杉並区松庵3丁目38−14
電話番号: 03-6671-1616
営業時間:16:00~23:00
定休日:水曜日
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