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TOP対談 株式会社カームデザイン 代表取締役 金澤 拓也 氏

弊社社長が飲食店経営者に直接インタビュー。そこから繁盛店の取り組みや経営のヒントを切り取ってお伝えします。
第12回は株式会社カームデザイン 代表取締役 金澤 拓也氏にお話を伺いました。

--デザインから飲食へと、カームデザインのこれまでの歩みを教えてください。
 
(金澤氏)昔から建築の設計はやろうと決めていて、幼稚園の頃の夢は大工でした。自分で建てた家に住みたかったんです。高校卒業後、建築の設計事務所に入社しました。そこは大阪一老舗の事務所で、スタッフも50人位いました。普通は10名ほどなので、多かったですね。請け負う仕事も、小学校や都市開発、集合住宅など大型建築ばかりで、ここで基礎を学ぶことができました。
 
--どれくらい修行されたのですか。
 
(金澤氏) 4年間です。ある時お店でお酒を飲んでいると、飲食店の空間って自由度が高くてすごいなーと思ったんです。こんな発想どうやったらできるのだろうと。比べて自分の仕事はお堅いものが多く、面白みを感じなくなっていた。「自分で考えた空間で飲食できたら楽しいな」と、設計事務所を辞め、店舗のデザイン会社に転職しました。
 
--そちらに移ってみていかがでしたか。建築と店舗のデザイナーとではどのように違うのでしょう。
 
(金澤氏)自由度が違いますね。建築は様々な規制の中でデザインしなければなりませんが、店舗はその点制約なしでしたから。飲食店デザイナーになる決意を持って、そこでも4年ほど経験しました。あまりそう見られないのですが、実は計画的な性格でして。中学のときに、高校はどこどこに入学し、その先の就職先はあそこに、とまで決めていました。なので、最初に入社した会社も面接時に、30になるまでに独立したい、それまでに一社だけでなく他も見て経験を積みたいので4年で辞める事を伝えていました。その後、27歳で独立することになります。
 
--飲食店デザイナーになるうえで2社目の選択は正しかったといえますか。
 
(金澤氏)そうですね。デザイナーは3人と小さな会社だったので、何でも経験することができました。高校のときから2社目は小さなところと決めていたので、描いていたとおりの会社です。ただ、独立のきっかけが見えませんでしたね。たとえば飲食店な
ら、出店にお金はかかりますが、出してしまえばお客様のほうから来てくれる。一方デザインは、独立しても依頼が入ってくるわけではありません。ましてや、今までいたところからお客様をひっぱることはしたくない。 流行っていないお店に行って、改装しませんかーともいえませんしね。「どうやって独立したらいいんだろう」と迷いはじめました。そんな時、業種の違う知り合いが、大手にヘッドハンティングされたんです。僕は負けず嫌いだったので「俺も独立する!」と思わず宣言してしまいました。
 
--ずっと計画的に進めてきましたが、独立に関しては大胆ですね。
(金澤氏)もうどうやっていいかわからなかったので、夜間アルバイトして、仕事がないときは飲食店で働こうと考えていましたからね。独立後は施工会社の下請けをしていました。今でこそ仕事が向こうからやってきてくれますが、本当にどうやって独立すればいいか当時は悩みました。
-- 27歳でカームデザインを立ち上げましたが、いつ今のスタイル(デザイン+監理)が飲食業界をはじめ世の中に知られていったのでしょう。
 
(金澤氏)どんな業種でも一緒だと思いますが、リピートや紹介ですかね。きっかけは紹介を介してダイヤモンドダイニングや有名人(島田紳助氏)のお店を手掛けたことです。そこから知名度が上がりました。独立して4年目くらいのときです。その後リピートで依頼が舞い込んできて、一番多いときは年間7、80件デザインしていました。
 
--そこまで人気のデザイン事務所でありながら、なぜ飲食の直営をやろうと思ったのですか。
 
(金澤氏)一時デザイン事務所としては多い、10数人の社員を抱えていて、固定費も増えました。そこにリーマンショックです。そんな時、飲食が良いなと思ったのは、確かに打撃は受けるけれど0にはならないと思ったからです。以前からやりたかった飲食に、リーマンショックがきっかけで着手したという感じです。
 
--1店舗目は大阪でホリエテッパンバール。出店してみていかがでしたか。
 
  (金澤氏)1階は白ワインを飲ませる酒場、2階を事務所にしたところ、そこからデザインの仕事も増えました。この形でお店を出したことが両方の点で信用につながったようです。それから半年後にセンバキッチンがオープンします。
 
--展開のルールや計画はあったのでしょうか。
 
(金澤氏)僕はHUGEさんが経営しているリゴレットが好きなんですが、それを自分のお店のお手本にしてセンバキッチンが誕生しました。メニューやデザインを進化させて、今は直営が20店になります。お店の規模に関しては、始めは資金もなかったので、小さい店舗をたくさん出せばいいと思っていましたが、人が変わると売り上げが上下して安定しない。これはビジネスとして成り立たないと思って。センバキッチンが40坪で70席ほどあり、利益も150万くらい残せる。これだったら飲食は面白いなと、指針になりました。
--直営店の業態に関してはどう考えますか。ある意味店舗はデザインのショールームも兼ねると思いますが。
 
 (金澤氏)昔は色々やってみたいという思いが強かったので、現在10業態ほどになっていますが、今は5、6ブランドをしっかり育てたい気持ちです。エイト(中目黒)はセンバキッチンの進化版として業態開発しました。センバキッチンはこれというウリがなかったので、エイトでは窯焼きピザを目玉にしたんです。
 
--種類としては洋業態が多いですよね。
 
 (金澤氏) 和食は食材や人の扱いが難しそうで挑戦できないですね。そういう意味では会社のブランディングをひっくるめても洋業態のほうがコントロールしやすいです。これから力を入れようとしているのはコーヒーですね。数店出店計画しています。
 
--今後の構想はどうお考えですか。

(金澤氏) 夢は大きく持ちたいタイプです。ただ飲食を大きくするには限界があるかなとも感じています。悩みも多く、時代の変化についていかないといけないし、センスも磨き続けなければならない。そういう思いを誰かにさせるのは酷かな。大きくすることで言えば、資金があれば色々可能性が出てくるので上場できるといいですね。それと、自分が引退するまでにやり遂げたいのが、業態作りとクリエイティブ部門のDNAを何十人に伝えること。それがいずれ組織になればいいかな。
 
--コロナ禍で感じることは。

(金澤氏) 色々やりました、昼にラーメンを出したり物販に挑戦したり。ただ、いうほどの売り上げにはなりませんでした。最近思うのは、特別なことをする必要はないなということです。収束すれば普通、もしくは自粛ストレスの反動でそれ以上になると予測しています。お客様を見ていて思うのは、飲めることに幸せを感じている人が大勢いること。なので今はコロナだから、とは考えないですね。いつも通りやっていこうと思っています。
 
--直営店を出す場合、店内デザインが先ですか、業態決定が先でしょうか。
 
(金澤氏) 業態が先ですね。何を出すか決めて、それに合った空間デザインを立地を含めて考えます。エイトを例に挙げると、大阪・堀江の店舗は、中目黒に比べてもう少しかわいらしい雰囲気になっています。料理に関しては、方向性とメニュー数までは関わっていますね。エイト名物料理に牛大腿骨を使ったものがありますが、コンセプトは「男の手料理」なので、盛り付けもダイナミックにしています。インスピレーションは海外に行ったときに得ることが多く、そこで受けた刺激を店舗で表現しています。
--次に注目している食材はありますか。
 
(金澤氏) 豆腐です。近々、手作り豆腐をコンセプトにした中華屋という新しい業態を作ろうと思っています。これも台湾に行ったときにヒントを得ました。今回コロナで中国、韓国料理業態が伸びました。というのも、両者とも食事がしっかりとれるというイメージが強いからだと思うんです。でも、中華って、ご飯だけでなくお酒も飲める業態ですよね。僕たちのコンセプトは女性が来たくなる店が大前提なので、その点でも豆腐はいい食材だとみています。
 
--最後に、商売をするうえで大切にしているモットーを教えてください。
 
(金澤氏) 僕、好きな言葉が努力なんです。いつも言うのが、頭が悪くても人の3倍やれば勝てる。努力は裏切りませんよ。



海外で得た刺激を、空間と食事を通して表現されているのは、さすがデザイナーのなせる業だと感じた回でした。金澤社長ありがとうございました!
株式会社カームデザインhttp://calm-design.jp/



 
■PIZZERIA 8(ピッツェリア エイト) 中目黒店
所在地:東京都目黒区上目黒一丁目22番12号
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定休日:不定休
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